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中嶋嶺雄氏スペシャル記事

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多様性を受け入れる器

 植民地の時代、二十世紀までは文化に優劣を付け、先進国の人たちが途上国を未開の国と呼び、「お前たちの文化は遅れているから従え、英語を使え、キリスト教を信じよ」という形で支配をしてきました。

貧しい国々が豊かな国々の文化に憧れるというところを利用しての政策であり、戦後の貧しい日本が物質的に豊かなアメリカに憧れて、音楽でも食べ物でも憧れたような状況が続いてきたのです。

しかし、このような脅す、憧れさせるという政策をとってきた西欧諸国の国々も、経済的な地位が逆転する今世紀には、これまでの手法は通用しません。これからは「相違点」をしっかり認めたうえで、違いをよく説明していくということが、グローバル人材にとって一番必要な要素になるのです。

語学以上に遙かに大切な力は、「違い」を受け入れるものの考え方です。日本人はこの多様性を受け入れる潜在的な能力をDNAとして持っているのではないかと思います。

たとえば水洗便所。アフリカに行くと、西洋人は清潔にするために水洗便所を使うのがいいと考えますが、日本の若い人たちの場合は、現地の人が使っている便所を清潔にしてそれを日本人も使うという場面を見かけることでしょう。

日本人は教えられなくても、相手の国の文化を受け入れられる。日本国がキリスト教も仏教も受け入れた素地、八百万(やおよろず)の神というような昔からの文化、伝統、習慣というものを受け入れて昇華し、自分のものにしていくこと。これには一神教の国とは違う哲学を持っていることが理由にあると思います。

日本人のDNAを生かしながら、この多様性の時代のグローバルな人材が生まれてくることは十分可能です。日本のグローバル人材の話をする時に、多くの人たちが「英語の勉強をしなさい」と言いますが、私は「グローバル人材」の条件は決して語学ではないと思います。
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