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中嶋嶺雄氏スペシャル記事

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アフリカが経済の中心に

 三番目の財団の目的である「自立化」でわれわれが活用するのは、マイクロファイナンスという考え方です。働きたい、何かやりたいという熱意があり、苦学で勉強もした、しかし担保がないと銀行は金を貸さない、という状況下で、事業を興したい時に小口の無担保の資金を融資する制度をアフリカに作っていこうと考えています。

こういう話をすると、アフリカ側から「うちだって銀行はあるよ」という話が出るのですが、たとえば元英国の植民地の場合は、英国銀行法の下でできた銀行です。英国人がアフリカで商売をするために作った銀行法では、豊かな階層をますます豊かにはしますが、担保力のない貧困層には無力です。

これから人口増が見込まれる低所得者に対して小口の無担保の融資を造る仕組みを造ることで、中産階級層が大きく育てていくということをやろうとしています。

〇九年からバングラデシュでマイクロファイナンスのプロフェッショナル・プログラムを当財団が作り、アフリカの中央銀行や財務省の若手役人のトレーニングコースを行ってきました。今年からはさらに多くのアフリカ諸国から訓練生が来ます。

二〇一二年までにアジア、中南米、そして日本から合わせて百五十名以上の卒業生を出しました。

日本の企業で、途上国でビジネスをしたいと思うのならマイクロファイナンスの手法をきちんと理解することは絶対に必要です。貧困層が中産階級に育っていくメカニズムを知ることは、企業にとって成功の秘訣を知るようなものです。

今年もCOMESA十九カ国、SADCの十五カ国から受け入れます。アフリカに帰国後、アライアンス・フォーラム財団やアフリカ域内開発銀行が加わって、新しいマイクロファイナンスによる中小企業金融の制度的枠組みを造り上げていくことを実現したいものです。

アフリカの人たちが自分たちの手で、自分たちの考えで、なるべく外国から援助を受けずに自立化していくような枠組みになる手だてを造り上げていきたいと考えています。

これから二〇五〇年までに、日本、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアまで含めても、先進国の人口が世界の一二%以下になってしまいます。途上国は八八%を占めることになります。いまは中国やインドが伸びていますが、二〇三〇年までにはアフリカ諸国に人口面では抜かれ、二〇五〇年からは三十億人以上がアフリカのなかで増えていくと思われます。現在の七十億人から百億人の世界になった時に、アフリカが経済の中心になっていくことは明らかでしょう。

私は一九七七年に北京に行きましたが、この時の北京は空港に着いても観光客が誰もおらず、貧しい国でした。しかし、いまのアフリカは七七年に見た中国よりも遙かに上の段階に達しています。アフリカ諸国民が育っていき、教育レベルも高くなり、わが国や世界と対等に取引して貿易するようになれば、世の中は大きく変わるでしょう。
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