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中嶋嶺雄氏スペシャル記事

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内部抗争という問題

内部抗争も大きな問題です。たとえば、クルド族は二千万人の人口がありながら独立を許されず、イラン、イラク、シリアに分割され、それぞれの国の多数派民族と対立させるという構図で支配されてきました。多くのアフリカ諸国は植民地の時代にイギリス、フランスなどの旧宗主国が分割統治がし易いように国境が定められたので、独立後も部族間闘争が起きやすい。さらには米ソの代理戦争まで重なるなどして、内部抗争を解決するのは非常に難しいことだろうと思います。

アフリカ五十四カ国のなかに、ザンビアという国があります。一九六四年、東京五輪の開会式当日に独立したザンビアは、入場は「北ローデシア選手団」として、閉会式は「ザンビア共和国選手団」として参加しており、日本には大変縁の深い国です。

その初代大統領のケネス・カウンダさんは自国の独立だけではなく、南部アフリカの国のマラウイ、モザンビークの独立運動を助け、ジンバブエのムガベ大統領、南アフリカのマンデラ大統領など、彼らが英国の植民地政策やアパルトヘイト政策の政権によって逮捕されたり拷問を受けた時にザンビアに匿ったという「南部アフリカ建国の父たちの父」と言われる人です。

私はこれまでに多くの大統領の方々にお目にかかりましたが、カウンダ大統領は最も素晴らしい方であろうと思います。それもあって、前大統領のルピア・バンダ大統領の特別顧問をやっておりましたが、ザンビアという国は、民族紛争の解決をする一つの糸口を伝えてくれる可能性があります。

人口一千二百万人の小さな国ですが、七十四の部族があり、カウンダ初代大統領によって独立した時に、出身部族は閣僚に入れず、北部の人間を南部州の知事にし、西部の人間を東部の知事にする。そして部族間交流を二十年奨励したことで、ずいぶん部族融和が進んできました。

大統領によってはこういうことも可能になるのですが、ここまで見通し、実行するのはなかなか難しく、いまもアフリカの大きなテーマになっています。

アフリカは経済的な独立と内部抗争からの独立をこれから二十年、三十年かけて解決していくことになるでしょう。今回のTICAD(アフリカ開発会議)にもあった持続可能な経済というテーマのなかで、アライアンス・フォーラム財団が寄与できることがあると思っています。
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