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中嶋嶺雄氏スペシャル記事

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アフリカの「チャレンジ」

私はもともとマヤ文明の考古学を研究していて、エルサルバドル、ホンジュラス、グァテマラなどにも行っていました。その後、考古学の研究資金がなくなって、資金を稼ぐために渡米し、国連フェローなどを経て現在、アライアンス・フォーラム財団の代表として途上国支援などの活動をしています。サンフランシスコに住み、アメリカ、イギリス、イスラエルの三カ所を中心に事業活動を行ってまいりました。

考古学が何よりも大好きですから、当然、人類の起源であるアフリカにも大変関心を持っていて、タンザニアにあるオルドヴァイ渓谷など、人類の起源の地に足を運びました。

エジプト文明やスーダン北部のメロエ文明、ジンバブエにありますグレート・ジンバブエ遺跡など、アフリカには古来、非常に優れた文明が各地に存在しています。古い豊かな潤沢な文明を築いてきたアフリカが、その後の西欧の進出により奴隷貿易や植民地時代の帝国主義による搾取を受け、その後も米ソ代理戦争に巻き込まれ、やっと一九六〇年代頃から国々が独立してきました。

ただし、政治的には独立したものの、現在もアフリカが抱えている「チャレンジ」は、いかにして経済的に独立するかということです。そしてまた、貧富の差を解消し、内部抗争をどのようにして解決していくかが、大きな問題として存在しています。

現在、アメリカ、ヨーロッパ、あるいは中国などの新興国も含む多くの国がアフリカに経済的な支援をしていますが、アフリカの大統領たちによくよく考えてもらう必要があるのは、どうすれば支援を受けずとも経済的に自立できる国になるのかということです。

BOP(Base of the Pyramid)ビジネスにはいい印象を持たれる方もいらっしゃると思いますが、多国籍企業のトップと話をしていますと、先進国の人口が減り、経済が低成長になってきた時に、今後伸びるアフリカやアジア、ラテンアメリカで販売することが、株主利益の追求にとっては重要な手段となると考えている経営者もたくさんいます。

さまざまな企業がアフリカに参入していますが、石鹼やチョコレートをプラスティックの小袋に入れて五円、十円という安い金額で販売している。しかし、それまでアフリカでは土に還らないゴミのない生活をしていたのです。バナナの皮だって、捨てれば三週間以内に土に還ります。ゴミ箱の要らない循環型経済のもとで生活しているアフリカやアジア、中南米の農村部や奥地に、先進国からビニール袋を持ち込んだ途端に、辺りはゴミだらけになってしまう。多国籍企業の社長たちには、「ゴミを処理するところまできちんとやりなさいよ」と言うんですが、「そんなことをしていたら採算が取れない。株主利益の追求のためのBOPだ」と返される。ゴミを処理してくれるNGOに寄付しているというが、これではNGOも単なるごみ処理の下請けになってしまいます。
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